BLOG

NPO法人タッチケア支援センター > 未分類 > ご報告ータッチケア女神山リトリートー終末期の方へのベッドサイドでの実技

2023年08月02日

未分類

ご報告ータッチケア女神山リトリートー終末期の方へのベッドサイドでの実技

タッチケア女神山リトリート。
終末期の方へのベッドサイドでの実技。
7月21日から23日の2泊3日。
長野県、上田市の別所温泉という古代から中世にかけて仏教によって盛んとなった温泉地から、車で10分ほどの山の中に、女神山ライフセンターはあります。かつて、エサレン研究所をもとに、導かれるかのように女神山の地にたどり着き、1992年に開設。自然とともに生きる滞在型のリトリートセンターをという大森ご夫妻の思いを形にした、森に囲まれた研修センターです。
かつて、エサレン研究所からお招きした海外講師の先生を中心に、何度もワークショップを開催させていただいた女神山ライフセンター、コロナ禍の間は、閉じておられましたがようやく再スタートとなりました。
お食事も、敷地内の農園でとれたお野菜を中心で、目にも鮮やかな創作料理。クーラーもなく、鳥や虫の声に包まれながら、身体が自然の中に順応していくのがわかりました。
今回は、前半はエサレン・スタイルの全身のオイルトリートメントであるTOUCH in GRACEというクラスを5泊6日で開催。踊ったり、絵をかいたり、そして、全身を豊かにつなげるロングストローク。生の喜びと多様性を満喫するようなクラスでしたが、そのあと、テーマはぐっと変わり、こちらは死をテーマに、穏やかで静謐なタッチが中心となりました。
誰もが、死を体験します。
誰もが、避けれないテーマ。
でも、普段は、なかなか触れることはできません。
少しずつ、”死”をテーマに、私達のナラティブ(語り)が始まっていきました。
始まりのサークル。
自己紹介。
キャンドルと女神山のお花たち。
そして、色とりどりの折り紙。
そこから、好きな色を選んで、折り紙の裏側に、亡くなった方への思い、あるいはこれから亡くなってしまわれるかもしれない方への思いをつづり、その文字が見えなくなるように、鶴を折ります。
折られた鶴を手に載せて、その質感や質量を感じながら、ペアになり、語り合いました。
折り紙の軽い感触。
かそけき、風のような肉体を超えた、繊細な手触り。
鶴を眺めることで、思いとの距離もとれます。
そして、お互いの鶴を両手で包み癒し合いました。
終末期の方へのタッチは、皮膚や、骨や筋肉、血管などに負担がかからないよう、肉体を超えた微細な層に触れていきます。最初のタッチは、折られた鶴から。そこに書かれた思いとともに、触れてみる。少しずつ、にじみ出るように、私達と”死”との関係性が浮かび上がってきました。
次のワークは、「死に行く人とともにあること」、ジョアン・ハリファックス老師の名著の第一章のワーク。
私にとって最悪の死に方とは?
私にとって理想の死に方とは?
それぞれ、瞑想し、そして、ペアとなり語り合い、そして、最後に、受け手の方が、自分が亡くなるときに、どのように周りの人にしてもらいたいかを、しっかりと伝えて、そのようにしてもらいます。
触れずに距離をもって、しっかりと見守ってほしい方、背中全体をハグしてほしい方、色々でした。
そう・・・・、一人一人、違うのです。
もちろん、実際に自分が死ぬときのシチュエーションは、その時々で様々でしょうから、必ずしもそうなるとは限りませんが、こうした体験を通じて、みなさん自分自身が、死への擬似体験を何度も行うことができました。
中には、ああ、こんな風に死ねるなら、いま、このまま死んでしまってもいい、、という声もちらほらと。
少しずつ、死への不安、怖れが癒えはじめ、さらに死や終末期について語り合う勇気が広がります。
初日はここまで。
2日めは、ちょっとレクチャーを。
終末期のタッチケアには、
●緩和ケア
●スピリチュアルケア
●グリーフケア
が、微妙に重なりあいます。
その話と、何故、タッチケアが、痛みや不安、怖れ、不眠などを緩和する効果が期待できるのかのメカニズムを。
また、終末期の方へのお身体には、軽いタッチである必要がある様々な理由。軽い圧でも効果をだす、C触覚繊維の話など。
などなど。
そして、午前は、マッサージテーブルを使い、楽な姿勢で、呼吸とともに、”ただ触れる”ワークを。
午後は、横向きの体勢の方へのタッチと、軽い圧の、包むようなハンドとフットトリートメント。
このワークショップでは、微細で、軽いながらも、とても、安心感があり、心地よく、包まれるようなあたたかさを届けることができるような、”タッチの質”を、探求していくことがテーマです。それは、皆さん、ご自身で体感することができたようです。
楽な姿勢や、グラウンディング、呼吸・・・視点。
今・ここにともにあること、マインドフルネス・・・。
あるがままを、ジャッジしないものの見方。
様々な要素が、終末期の方と”ともにある”ことの質を深めていきました。
最終日は、リクライニングチェアを使って、ご家族の方と共に触れる4ハンドでのタッチケア。
ご家族と一緒に、ゆっくりと、軽い圧で、包むように、終末期の方のお体に触れていきます。
この体験は、ご家族にとっても、大切な思い出となっていくでしょう。
ホスピスでお勤めの、介護士さんが、職場に戻ってから、さっそく、ご家族と一緒に触れていくことをお誘いしたところ、とても、喜ばれたとのことでした。
訪問看護や高齢者施設でのお看取りの実践経験の長い方もおられて、タッチケアの修了生の方は、すでに現場で、実践されているので、そこから多くのアイデアをいただきました。すでにお看取りのときに、ご家族とともにやさしく触れゆくことを実践されている方も。
初めてのクラスですが、ほんとうに集まるべくして集まってくださったメンバーと共に、あらたなチームが生まれていきそうです。
死について語り合い
不安や怖れを支えあい
死についてサポートしあえる
コミュニティ。
このリトリートは、その始まり。
内容も手探りでしたが、みなさんと共に作り上げていけたことが、何よりもうれしいですね。
クラスの間、大勢の亡くなった方々の魂も、ガイアホールで、この時間をわかちあえたように思います。
また、私は、これに至った、様々な師への感謝が。TOUCH in GRACEは、シャーをはじめ、私が出会ったすべてのエサレンの師たち。
終末期のタッチケアは
キャロリン・ターグ先生(米国ホスピタルベイスドマッサージ)
ディラン・ロット先生(米国ホスピタルベイスドマッサージ)
ジョアン・ハリファックス老師(「死と死にいくこと」著者)
そして、エサレンの
マリア・ルシア(スピリチュアル・マッサージ)
クリスティン・プライス.(ゲシュタルト・プラクティス)
と、大勢の師の顔が浮かび上がってきました。
ここからさらに、日本の文化に即した、終末期のサポートと看取りと、そこでかかわるタッチケアの在り方について、これから深めていきたいと思います。
ご参加の皆さま、
そして女神山ライフセンターのスタッフの皆さま。女神山の自然、そして精霊たち。
ただただ、感謝がつきません。
女神山のことも、ゆっくりと語りたいです。
ああ、夢のような大森経子さんの創作料理!
今回は、大森仁さんからお話を聴くこともできました。気づきと癒し、変容のセンターとして、エサレンやフィンドフォーンの系譜を受け継ぎながら、独自の空間として発展してきた女神山に感謝。