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2025年06月11日

活動報告

第二回能登半島タッチケア支援活動報告ー穴水ー 6/7

能登半島被災地での、第二回目の活動は6月7日の午後、穴水町での仮設住宅の談話室でした。
穴水にご縁が出来たのは、代表の中川れい子が研修で参加した災害学・災害社会学支援者センターの連続講座で講師としてご参加くださいました、穴水町の森本石油社長、森本敬一さんのご縁です。この災害学コースを企画・主催くださった宗教学者の鎌田東二先生(京都大学名誉教授)が5月30日にご逝去された悲しみの中、今回の旅では鎌田先生のご縁の地を巡りました。森本敬一さん、穴水の町とつながらせていただいたのも、鎌田先生の御蔭です。心より哀悼の意をお伝えしたいと思います。
まずは鎌田東二先生が大好きな、能登半島の縄文時代の遺跡、真脇遺跡へ。縄文記念館では高田館長さんのお話も拝聴することができました。また、真脇遺跡の復元されたウッドサークルの中で、夕陽が沈むまで鎌田先生の思い出話を。
真脇遺跡から海岸線を南に下ると、対岸の富山にそびえる立山連峰が雄大に見えました。
私自身(代表 中川れい子)にとって、仮設住宅での活動は東日本大震災の時以来でした。30年前に自ら被災した阪神淡路大震災での数か月後から3年間の間は、阪神間のあらゆる空き地に仮設住宅が立ち並び、ほんとうに大勢の方々が暮らしていました。そこで問題になったのは仮設住宅の暮らし辛さによるストレスと震災関連死、そして孤独死の問題。避難所よりはましでも簡易のプレハブ生活は楽ではありません。
輪島のほうに車を走らせると、まだまだ震災の爪痕が各地に残ります。
能登半島穴水地域だけで大小合わせて20か所以上の仮設住宅があり、今回は20戸ほどの比較的小さな仮設住宅ですが”永久仮設住宅”という仮設での入居期間2年が過ぎても賃貸契約を結んでそのまま入居可能で、被災後も住み慣れた地域でそのまま暮らしていく”石川モデル”と言われる新しいスタイルだそうです。たしかに作りがプレハブの仮設住宅よりも若干しっかりしています。そして高齢者の方がとても多いです。
活動は談話室(集会場)で午後2時から4時半の間。1時間程前に到着して、まずは机や椅子の配置をしなおしてオレンジやピンクという明るい色のテーブルクロスとヒーリング音楽を流し、美味しい緑茶と和菓子を用意。アロマの香りを少しだけ漂わせました。これだけでかなり仮設住宅の集会場の空間の空気感が変わります。
仮設住宅集会場(談話室)の前で。左から安井理絵さん、山根紀代美さん、中川れい子、そして、災害学で共に学ぶ気功家の鳥飼美和子さん(今回、企画段階でサポートくださった宮前敬子さんにも、感謝です)
今回は視察旅行の予定でしたが、かなり直前に仮設住宅での活動が決まったので、住民の方にお知らせできたのは前日の午後のポスティングだけ。そして施術者は2名。今回は支援スタッフの方を中心に数名の方に来ていただけたらいいかな?と思っていましたが、開始前から訪れてくださる方がおられ、そしてなんとそこから続々と。
結局、2時間半の間に14名の方が来てくださいました。
こちらの仮設住宅だけではなく別の仮設の方や、みなし住宅の方も、各地から集まってくださったのです。それは今回、穴水での活動で大変お世話になった地元での支援活動を展開されている、森本石油の森本敬一さんが、朝にLINEで穴水地域の方にお知らせチラシをアップしてくださったおかげです。震災後に築かれた住民同士のデジタルネットワーク。これは携帯電話も普及していない阪神淡路大震災や、SNSが始まりかけた東日本大震災の時にはなかったことで、時代の進化を感じました。もちろん、森本さんが薦めてくださったからこそ、来ていただいたのでしょう。ほんとうに感謝です。
今回、配布させていただいたチラシです。森本さんのアドバイスのもと、被災された皆様にわかりやすいように作成。こちらを、森本さんがSNSで発信してくださいました。
ヒーリング音楽の流れ、やさしい香りのする安全な空間
お茶とお菓子と語らいと・・・
そして、施術は、軽い問診のあと、肩・背中へのタッチケアと
対面でのハンドトリートメント。
お話もしっかり傾聴させていただきました。
私にとっては12年ぶりぐらいの被災地仮設住宅での活動ですが、私自身も、阪神淡路大震災を経験しているので、震災後の神経系の高ぶりが1年以上たっても今だに続いておられるのがとてもよくわかりました。交感神経優位な状態、あるいは、凍り付き背側になった状態が混ざり合います。ここ数年、SE(ソマティック・エクスペリエンシング)とポリヴェーガル理論を勉強しているので、災害後の人間の神経系の状態についての理解が深まったように思います。
穏やかに語り掛け、笑顔でつながり、からだにやさしく触れていく・・・タッチケアは、社会的交流系神経である腹側迷走神経複合体を活性化し、そして、皮膚へのやさしいタッチは、身体が今ここに在ること、一人ではないこと、そして、穏やかな刺激が脳神経系にダイレクトに働きかけて、自律神経系のバランスを回復するのに役立つことを、あらためて再認識しました。
そして、被災地での活動は特に、遠くからやって来た”客人(まれびと)”であることも重要なポイントかもしれません。日常では、近い関係では呟けないことも、遠くから、たまにしか訪れない人になら、呟くことができる。だから、タッチケアの傾聴とは、客人(まれびと)ケアでもあるのでしょう。
写真には”お茶&お菓子の語らいコーナー”は写っていませんが、仮設住宅の集会場での活動で、とても重要なのは、施術を受ける前後の住民の方同士の語らいコーナーです。身体が緩むと、心の緊張がほどけ、住民の皆さん同士も、和やかな気持ちで語らえる。。。。身体が緩むことでコミュニティが育まれていくのは、エサレンのコンセプトでもあります。
今回は、施術者2名と、災害学でご一緒している鳥飼美和子さんが施術ではなく、受付と、お茶お菓子、語らいコーナーを担当してくださいました。それが、また、素晴らしかった!見事なご対応で、ほんとうに、和やかな空気感を作ってくださいました。
また、施術者は、私ともう一人は(直前で、ずっと今回の企画を練ってくださっていた熟練の仲間が体調を崩したので、ピンチヒッターで)、中級を終えたくださったばかりですが、看護師で熟練のアロマセラピストさんであり、鎌田東二先生も教えておられた上智大学グリーフケア研究所を修了された山根紀代美さんがご参加。穏やかで深みある施術とケア、傾聴を行ってくださいました。
【施術を体験くださった皆様のご感想】
「とてもリラックスできて、身体も心もあたたまりました、またお願いしたいです」
「子でも孫でも、こんなことをしてくれんわい!ありがとうございました!」
「なかなかケアを受ける機会がなく、すっきりしました。遠いところ、ありがとうございました」
「セラピストさんの人生に共感しました。じーんとしました」
「初めて受けましたが、とてもリラックスの空間が、体験できたかと思います」
「仮設の部屋の外に出ていく機会を自分で作ろうと思いました。それはとても大切。このタッチケアもそうだと思います。応援しています」
「身体がとても軽くなって良かったです」
「初めての体験でとても良かったです。気持ちがすっきりしました。会話もできて、心が楽になりました。今度、機会がありましたらまた伺いたいと思います。本当にありがとうございました」
「こういうのが近くにあると嬉しいと思います」
「親戚の人に会ったような感じがします。垣根がなくて、ふわっとしました。幸せです」
「このような機会がなかなかないので、とても良かったです」
「ゆったり落ち着いて過ごせてよかったです。あたたかい手をあててもらうと、すご~く安心感がありました」
「わたしも、こういう施術ができるようになれたらなぁと思いました。今日は此処にこれてよかったです。ありがとうございます」
ご一緒に活動くださった、鳥飼美和子さん、山根紀代美さん、安井理恵さん、本当にありがとうございました。
そして、森本石油の森本敬一さんには大変お世話になりました。
また、穴水社会福祉協議会の皆様にも、直前の対応にもかかわらずご尽力いただけて感謝申し上げます。
能登、穴水の復興を願いながら、これからも少しでもかかわらせていただけたらと思います。
次回、こころにやさしいタッチケア・被災地ボランティアチームの活動は、7月19日より能登半島七尾市での活動となります。
また、8月末にも、予定しております。
継続した活動で、能登の皆様と心の交流を深め、地元の歴史や文化、美味しいものとしっかりとつながっていけたらと思います。
【能登半島、タッチケア支援活動へのご協力を!】
タッチケア支援センターでは、熟練したセラピストを、なるべく継続的に能登半島に派遣できるように、寄付活動をスタートしました。
ご寄付は、こちらの”セルフタッチング無料オンライン講座”での投げ銭でも可能です。今回の、Peatixの収益は、能登での支援活動に使わせていただきます。もちろん、無料でもご体験いただけますので、ぜひお気軽にご参加ください。
直接ご寄付の皆様へ
こちらの、NPO法人タッチケア支援センター口座にお願いいたします。
ゆうちょ銀行
店名 438(よんさんはち)
普通 2270395
名義 タッチケアシエンセンター
(14380-22703951)
今回は、森本石油前にあるインスタントハウスの中で滞在させていただきました。森本敬一さんと共に。
現在は、修復中ですが、真言宗の千手院さんで。目の前に、穏やかな北七尾湾の内海が広がる、美しい場所です。森本敬一さんは、千手院復興のために、現在、クラウドファンディング中。私達も応援したいと思います。
穴水は、その文字の由来通り、美しい水の沸き出づる地という意味のようです。
この穴水堂は、その泉の由来となりました。扁額は、森本敬一さんの叔父様が書かれたそうです。
報告者&文責 中川れい子(NPO法人タッチケア支援センター、代表理事)