2022年11月28日
なぜ「癒し学」なのか?前編ーいやしはあやしい?ー
12月1日(木)から始まる新オンライン講座「触れるケアと”癒し学”」。ちょっとここであらためて何故”癒し学”なのかをお話したいと思います。https://healingscience.peatix.com/
中川れい子(NPO法人タッチケア支援センター代表理事)
【なぜ”癒し学”なのか?➀前篇 いやしはあやしい?】
癒し学、Healing Science, Healing Study…といろいろ表現できますが、もう少し広い目でみると、エサレンでよく使う言葉”Healing Art”が(日本ではリベラルアーツと言ったほうがいいかな)一番しっくりくるかと思います。オンラインでは知識や概念が中心になりますが、実際には五感や動き、声、目線、表情、そして体験そのものや空間、さらに相互性や関係性等、様々な要素がそこには加わるからです。(ARTは日本語では芸術と訳されますが、海外では技法や技術としてよく使われます)
とはいえ、”癒し”というものは「はい、これが癒しです」と箱の中に入れられて前に出されてもなんの意味をなさないばかりか、逆に毒となってしまうこともあるので要注意。癒しは動的で生きていて、今・ここで意識化できないところからおこるもの。さらに言えば、究極的には”ハート”を通しておこるものなので、あまり”学”という言葉はあわないのかもしれません。
それでも、あえて「癒し学」と言う言葉を使ったのは、一つには、世の中には、あまりにも”癒し”と言う言葉が手垢にまみれてしまい、玉石混交となってしまっていることと、そして、明らかに”癒し”が必要な状況に今いるのに、そうした時に高いセミナーやセッション、あるいは宗教団体への妄信等での高額な寄付で”泣き面にハチ”状態になっている人が少なくはないからです。その象徴が安倍さんが奈良で殺害された事件で、旧統一協会の問題なのでしょう。
実際に過去20年間、セミナー中毒になって高額なセミナー代金を払うために借金までして追い込まれてしまった人。末期がんのお母さんのヒーリングのため高名なヒーラーさんだからと百万円ものセッション代金を支払ってしまった方。こういう業界にいると、そんな光景は端から目にはいってくるものです。
ほんとうに辛いときは、凍り付いて動けなくなっているか、あるいは、まるで喉から手が出るほどに”癒し”を追い求めてしまうか・・・。これはある意味中毒状態となっているようなもので、脳が渇望してお金を湯水のように使ってしまう方も少なくはない。
北海道大学教授の櫻井義秀教授(統一協会の問題でよくTVに出ておられる方)の著書「霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造」を読むと、かつて霊感商法と呼ばれた詐欺行為が、2000年代からは「癒し」産業に参入した流れが詳しくかかわれています。
この世の中にはもっとシンプルな”癒し”があると私は確信しているのですが(あったかいとか、ほっと安心するとか、話を聴いてもらえるとか、寄り添ってくれるとか)、どうも”癒し”が大飛躍して、スピリチュアリティにまで及んでしまう。大いなる自己変容がおこわないと癒しはおこらないとか、自分を超えた大いなるものを信仰することで救済されるとか(実際、癒しが起こるとごく自然と自己変容のプロセスが起こることがあるのですが、ま、それは結果としてです。最初からこういう癒しがあなたには起こりますというのは、かなり妖しい)こうなると、安易な「癒し」は逆に「あやしい」ということになり、遠ざけられてしまう。気が付いたら、ほんとうに「癒し」が必要な人には何も届いていない状況がおきて、放置されたまま。
しかし、私が過去20年間、この世界で見てきたものの中に、自宅サロン等で地道に地域に寄り添い、癒しを提供してきたセラピストの方々もおられることも確かなこと。「あやしい」と簡単に切り捨てるのはあまりにも惜しい。そして、人生において”癒し”が必要な局面って、やっぱりあるのです。
そこで、簡単なマップのようなものを「科学的根拠」「倫理性」等をベースにつくる必要があるのではないか?という問題提起。これが「触れるケアの”癒し学”」をスタートしたきっかけの一つです。
こころにやさしいタッチケアでは、タッチケアがもたらす癒しを、大きな柱として4つをたてています。それは、
*安心感
*リラクセーション(やすらぎ)
*身体感覚の気づき
*つながり
の4つです。ほとんどのことは近年、科学的な視点で解説できるようになりました。このオンライン講座のSeason 1 ではまずはそこをしっかりお話します。
(さらにボディワークがもたらす癒しの6つの層では、
➀リラクセーション ➁気づき ➂浄化 ④症状の改善 ⑤心身統合 ⑥心身超越(トランスパーソナル)・・・ここは前回のオンライン講座でしっかりお話しましたが、時々、このコースでも振り返ろうと思います)
そして、もう一つあります。
個人的なことでいささか恐縮ですが、「癒し学」と言う言葉は、私の夫である中川朋の父親である中川米造氏の著書によく出てくる言葉なのです。ちょっと長くなったので、後編は別で書きますね^^。
これは、「医」と「癒し」というテーマ。
医療における「癒し」とは?
という一つの命題を中川米造氏の著書からときほどいていこうと思います。
(後編に続く→こちらをクリック)
「みんなのセルフタッチング」
癒しの原点は癒しの主体である”わたし”に触れることから。
12月14日、日貿出版社より。
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